13Jul

人は不快な気持ちになった時に、その気持ちを弱めようとする心の働きがあります。
有名なものが、ぶどうをとろうとしたものの、ぶどうをとることに失敗して、失敗した途端に、あのぶどうは酸っぱかったからいらないなどという言ってしまうような行為です。元々ぶどうをとろうとしていたので、後からあのぶどうは酸っぱかったんだ、だからいらないんだなどと言うのはおかしな話です。この発言は、自分がぶどうをとることに失敗したというストレスを緩和させるために、無意識に出てきたわけです。
この例以外にも人は日常において自分の不快な気持ちを弱めようとします。それを防衛機制と言います。
今回はこの防衛機制についてまとめました。
防衛機制とは
防衛機制とは、自分の不快な気持ち、体験を弱めようとする心理作用のことを指します。防衛機制そのものは決して悪いものではなく、誰にでも働くものです。
しかしながら、この防衛機制が常態化すると日常に支障が出てきます。日常に支障が出ると、様々な精神的な病気や不適応へとつながることになります。
主な防衛機制の種類
防衛機制にはいくつかの種類がありますので、ご紹介します。
・抑圧
深いな気持ちや体験を意識の中に押し込めてしまう防衛機制です。
・昇華
性的欲求や反社会的欲求を、有用な活動、文化的活動をすることによって発散する行動のことを指します。
・補償
劣等感があることを、他のことをすることによって補おうとすることです。
勉強ができないからスポーツに精を出すなどが例として挙げられます。
・退行
いわゆる幼児退行です。ストレスから逃れるために幼児のように振る舞ってしまいます。
・同一化
スポーツ選手など優れている人と自分を同一視することによって自分のことを高めようとすることです。
・反動形成
受け入れにくいことを無意識に抑えることで、現実では本当に思っていたことと逆の行動をしてしまうことです。
・合理化
できなかったことに対して理由をつけて言い訳することです。
ぶどうをとれなかったからといって、とれなかったぶどうは酸っぱいんだなどと言い出すのは、合理化の典型的な例です。
別れた途端元恋人のことを悪く言いふらすのも、心の安定をはかるための行動だと言えます。
・知性化
自分が感じた不満などを専門用語などを用いて論理的に固く語ることです。
・身体化
抑圧された葛藤などが身体症状として表に出てくることを指します。
・行動化
身体化と似たようなものです。心の中の葛藤や不満などが、問題行動として生じることです。
このように、防衛機制には多くの種類があります。私達の心は、様々な手段を用いて、不満や葛藤、不快な気持ちから安定しようと作用しているのです。
まとめ
防衛機制とは、自分の中にある嫌な気持ち、迷いなどに対して働く心の作用のことを指します。
防衛機制には様々な種類があり、自分の気持ちを押し込める抑圧、反社会的な欲求を社会的な行動で解消する昇華、失敗を理屈をつけて正当化する合理化などが有名です。
これらは基本的には悪いものではないのですが、これは程度問題で、あまりにも極端な行動であったり、頻度が多かったりすると、周囲に悪影響を与え、不適応の原因となります。周囲に防衛機制のような行動があまりにも目立つ人がいたら、注意が必要です。