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心理学者ミルグラムとロジャースの考え方と名言

「アイヒマンショー」という映画をご存知でしょうか。

誰もが知るヒトラー率いるナチスドイツが歴史に残した大罪、ユダヤ人大量虐殺において、その中心人物とされるアイヒマンの裁判を題材にした映画です。

絶対権威ヒトラーからの命令であれば、どんな残虐な命令でも断れなかった事を証明するために使われたのが、「ミルグラム実験」(通称アイヒマン実験)なのですが、ただの命令だけで、あれだけの残虐な行為ができるのか、服従の心理がさせたのか、はたまたアイヒマン自身が残虐な性格故、自らの意思で行ったことなのかが、当時の裁判では争点になりました。

今回は、その実験を行ったミルグラムについてご紹介します。

スタンレー・ミルグラム

アメリカの心理学者。ユダヤ人を両親に持つミルグラムは、ユダヤ人大量虐殺が起きたメカニズムを研究する為に、いわゆる「ミルグラム実験」で、権威への服従に対する心理学的作用を研究しました。
ミルグラム実験

教師役は生徒役に、簡単なテストを行います。生徒役が間違える度、教師役は電流を流すスイッチを押しますが、不正解ごとに最初は15Vほどだった電流が、15Vごとに大きくなり、最終的には死に至る450Vまで上げる事ができます。

不正解が増えれば大きくなる電流に、生徒役は呻いたり悲鳴を上げる(実際に電流は流されておらず、芝居をしている)為、スイッチを押す教師役も罪悪感に駆られて、後ろに控える研究者役へ、続行すべきかを問います。

実験者である研究者は、「大丈夫」である事を教師役に伝えたとき、どこまで電流を上げ続ける事が出来るかを見る実験です。(ちなみに、この実験での被験者は教師役のみで、生徒役・研究者役は実験者です。)

スタンレー・ミルグラムの実験結果

80人の被験者うち、致死に当たる450Vまで電流を挙げられた割合は65%、大まかには80名中50名前後に上りました。
服従の心理

先の実験を聞いて、「私は絶対途中でやめられる」と思っている方も多くいらっしゃると思います。しかしながら全体の65%はかなり多い人数であり、「絶対・・・」と言っていた人も、多くの人は最後まで服従してしまうという事は安易に想像できます。

相手役が悲鳴を上げる度に、罪悪感を持ちながらも、なぜ途中で断る事が出来なかったのか、そこに服従の恐ろしさが隠されていそうです。

人は、自分自身をコントロールする事さえ、第三者に任せようとする傾向にあります。なぜなら、何か起こった時に第三者の意思で動いているため、自分に責任が生じず、何かあっても責任転嫁できるからです。恐ろしいことに、責任を一人で背負いたくないがために、権威に無意識下ですり寄っていく場合もあります。

又、服従するといっても意味は広く、電車待ちで、ホームにあらかじめ書かれている線に従って並んで待つことも、一種の服従です。服従すること自体は、社会を円滑に進めるために必要な事であり、皆何かのルールに従って生活しています。

ただ、その服従が、いわゆる「マインドコントロール」されるような、自分に危害を加えそうなものには近づかない事です。

誰でも、自分に自信がないため、誰かが出した決断に乗っかって事なきを得ようとしてしまいます。しかしながら、そんな軽い気持ちだったのが、断り切れず、気づけば大きなことに巻き込まれる可能性もあります。

誰にも寄りかからないというのは無理ですが、普段のごく小さいことから、自分はどうすべきかを自身に問いながら、自分の芯を作るように心掛けたいものです。

毎日の生活の中で、様々な人と関わり、時として一方的に悪者にされたり、愚痴を聞かされたり、相手のご機嫌斜めのあおりを食らう事もあれば、自分の気分がすぐれず、思っている以上に嫌な言い方で相手を傷つけてしまって後悔したりと、何かと精神的に負担が多いのが人間関係というものです。

言えずに心にこびりついたサビは、一般の人では落とすことが困難であり、その鬱屈した心のよどみを吐き出すために、時としてカウンセリングという方法も必要かもしれません。

そこで今回は、カウンセラーでなくても、コミニュケーションの取り方の参考になりそうなカウンセリング方法を提案した、心理学者ロジャースについてご紹介します。

カール・ロジャース

1902年~1987年、アメリカの臨床心理学者。来談者中心療法というカウンセリング技法の創始者であり、現代のカウンセリングでも普通に使われている技法や用語を生み出しました。
とにかく受け入れて話を聞く

それまでのカウンセリングでは、カウンセラーが診断し、その診断に基づいて、カウンセラーの技術において治療方針を指示する「指示的心理療法」が盛んでした。

そんななかロジャースは、アドバイスはしない、指示もしない、ただひたすら話を聞き、それによって相談者が自らと向き合い、自らの治癒力をサポートする「来談者中心療法」を確立しました。

ここでは、来院するのは、治療を目的とした「患者」ではなく、相談をすることが中心である事から、「クライエント(来談者)」と呼ぶようになったのも、ロジャースからです。

では、クライエントの話をひたすら聞き続けるロジャースのカウンセリングは、どのような手法だったのか、詳しくお話ししていきます。
カウンセラー三原則

カール・ロジャースの自己一致

カウンセラー自身が、偽りのないありのままの自分を受け入れ認めており、自分が自分であることに違和感や苦痛のない、健全な心理状態である事。

自分が描いているイメージと、現実の自分が一致していないと、2面性がでてしまい、誠実なカウンセリングができなくなってしまいます。

カール・ロジャースの無条件の受容

クライアントの感情において、その言葉が肯定的であれ、否定的であれ、どちらの意見に偏ることなく、クライアントのありのままの感情を受け入れる事。

カウンセラーの考えや価値観を与えるのではなく、クライエント自らの価値観を自身の言葉で話し、受け入れる必要かあります。

カール・ロジャースの共感的理解

カウンセラーの想像力と感受性を最大限に利用して、クライエントに起たき出来事や心の動きを、あたかもクライエントであるように受け止める事。

ここが、「ただ話を聞く」だけでなく、カウンセリングとして成り立たせる為に必要な要素になります。しかしながらカウンセラーも一人の人間であり、自分の心を100%意図的に扱う事は難しく、カウンセラーとクライエントが異性だった場合、感情移入しすぎて恋愛感情に発展してしまう事もあり(転移)、こうなると、カウンセリングができなくなるため、両者の境界線をはっきりさせたうえでの共感的理解が必要になります。
最後に

「聞き上手」という言葉がありますが、カウンセラーは「聞く」プロであり、価値観を否定されることも、押し付けられる事もなく、すべてをありのまま受け入れて共感してくれるからこそ、クライエントは話しながら自分の心を整理でき、本人の治癒力を高める事ができるんですね。

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