28Mar

心理学の用語で心の理論というものがあります。
この心の理論は自閉症の子供達を語る時に聞く用語です。
心の理論というくらいだから心情に関する理論かと想像できそうですが、実際どんなものかは少々わかりにくく、疑問に思う人もいると思います。
今回はこの心の理論に注目します。
心の理論とは
心の理論とは、他者の考えを理解する能力のことです。
相手がどのような目的で話して、どのような考えを持ってどのように推測しているのか考える力のことです。
私達はほとんど無意識にこのことを行っています。
小さい子供や自閉症の人たちはこのことが苦手で、うまくできない人が多いです。
サリーとアン課題
心の理論を確かめるものとして、サリーとアン課題という有名なものがあるのでご紹介します。
初めて知る人は、文章を読んで一緒に考えてみてください。
それではいきます。
サリーとアンは部屋で一緒に遊んでいました。
サリーはかごの中にボールを入れました。
サリーはそのまま部屋を出て行きました。
さて、部屋に一人残されたアンですが、サリーがかごの中に入れたボールを別の箱の中へと隠してしまいました。
やがて、サリーが部屋に戻って来ました。
サリーはボールを探します。
さてここで質問です、サリーは部屋に戻って来た時、ボールを取り出そうとして、最初にどこを探すでしょうか。
答えはかごの中です。
サリーはアンが箱の中にボールを隠してしまったことを知りません。
よって、自分が入れておいたかごの中から探そうとするはずです。
これは、5歳くらいになれば、ほとんどの子が答えられるようになります。
サリーの立場に立って、サリーの気持ちを考えて答えを導き出すことができるわけです。
ところが4歳以下の子供や自閉症の多くが、箱の中と答えてしまいます。
箱の中にボールがあるのだから、箱の中から探すに決まっていると思ってしまうわけです。
つまり、サリーの気持ちを考えることができず、自分の知っている情報から答えを出してしまったわけですね。
自閉症の人たちはこのように他人の気持ちを想像して推測することが苦手なわけです。
そういったことから現実で誤解を生み、トラブルになってしまうこともあるわけですね。
まとめ
この心の理論があることで、私達はスムーズなコミュニケーションをとることができますし、少ない言葉で会話をすることもできます。
ただし、この相手の推測する能力に頼りきると、すれ違いにつながることもあるので、きちんと想いを言葉にして伝えることは、日常生活では大切なものとなります。