28Mar

私達が普段よく目にしているコマーシャルですが、これは莫大な広告費を用いて宣伝されています。
ところが、最近はテレビのコマーシャルは見ないとか、見ていても集中していないという声をよく聞きます。
そうなってくると多くのお金を使ってコマーシャルを出してもまるで意味がないように思えます。
しかし、実はコマーシャルを出して名前を出すことには、実は、とても大きな効果があるのです。
擬似有名効果
心理学の実験で以下のようなものがあります。
参加者に、有名人の名前と、そうでない普通のリストを渡します。
次にその名前を参加者に、大声で読んでもらいます。
この日はこれで一旦終了です。
そして翌日に、前日に入っていなかった名前も混ぜられたリストを参加者に渡します。
参加者に名前を見せて、その人は有名かどうか質問をします。
すると、たとえ無名の名前であっても、前日のリストで読み上げていた名前のことを、有名であると誤認する傾向が出たのでした。
前日に見たのだから有名人の名前と一緒に覚えていて、有名であると判断されたのではないかという指摘もあるかもしれません。
ところが、参加者はその名前をほとんど覚えていなかったのです。
覚えていないのにも関わらず、有名であると勘違いしたわけです。
つまり、前日に名前を見たという経験によって、その名前は有名であると無意識に認識してしまっているのです。
これを擬似有名効果と言います。
覚えてもないのに前日名前を見ただけで、有名であると誤認するだなんて信じられない話ですが、実際にそう判断してしまう人がいるわけです。
コマーシャルも名前を出すことに意味がある
このことから、コマーシャルも意味があると推測できます。
たとえ集中していなくとも、何回も放映することで、名前を繰り返し出して無意識に意識させるとは変な言葉ですが、商品を認知してもらうわけです。
そうすることでこの商品が有名だと思ったり、売り場でなんとなく目がいき、購入しようかなという気になるわけですね。
熱心にコマーシャルで商品の効果やイメージについて確認しない人にも、名前を聞かせるだけで絶大な効果があるわけです。
テレビを見ない人も増えてきましたが、まだまだ見る人はたくさんいます。
大勢の人間に対して、これは聞いたことあると思わせたり、無意識に有名なもの、いいものだと思わせることができるのなら、今の時代でも宣伝することにも意味があるのでしょう。
また、今回の実験から、選挙で名前を連呼している選挙カーも意味があると推測できますね。
あれもうるさいと感じる人がいるのにも関わらず、あれだけ街中を走り回って名前を宣伝するのは、名前を聞かせることそのものがとても重要であるからに違いありません。
このように、心理学の実験を一つ知ると、あれもこの理由でやっているのかな、などと考えることにつながり、とてもおもしろいですね。