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適応障害と統合失調症の原因・診断・治療の重要なポイント9選

職場で精神疾患が原因で休業する方が増えていますよね。主治医が書かれた診断書には、適応障害やうつ病で休業を要するとの記載がありますが、なにが違うのかが分かりにくくありませんか?職場での代表的な精神的な病ですが、多くの方には、その違いが分からないと思われますので、適応障害について重要なポイントを解説します。

適応障害

適応障害は、ある特定のストレスに晒され、本人のストレス限界を超えることにより精神面(激しい落ち込みや不安感)、体調面(頭痛やイライラ)、行動面(暴力的)に関して人格が変貌したようになり安寧な社会的生活を過ごす事ができなくなります。診断では、本人の呈する病状が、他の精神疾患に相当する場合には、適応障害でなく症状に沿う疾患と診断されます。このように適応障害は、結果系である特徴的な症状で診断されるのではなく、特定のストレスに晒される状況に適応できないというプロセス系で判断されます。一般的に言って、適応障害とうつ病は区別しにくい病気ですので、うつ病との比較も考えて見ます。

うつ病

うつ病は、本人を取巻く環境からの種々のストレスにより本人のストレス耐久限界を超えるとうつ状態(無力感、無気力感など)に陥ります。本人に対する原因系であるストレスは、種々多様なストレスであり、特定は困難で、原因不明の場合もあります。症状的には、身体や精神面に現れ、気持ちの落ち込み(抑うつ状態)、集中力の低下(思考できない)、焦燥感(意欲の低下)などです。

適応障害とうつ病の違い

適応障害とうつ病の大きな違いは、適応障害では、原因となったストレスから離れると症状がなくなりますが、うつ病では、ストレスから離れても急速に回復することはありません。適応障害の場合、原因となったストレスが職場の特定の業務関係や人間関係であったりすると、休日はストレスから離れることになりますので元気に過ごせます。このあたりから“サボり”や“仮病”と言った見方をされることになりますが、本人にとっては、苦しい状態が続きます。

適応障害の種々の症状は、うつ病と比較すると軽度であり、その他の精神障害の症状と比較しても軽度の状況と見られますので、うつ病などの前駆状態と思われますが、別個の病気と考えられます。また、病気としての重さも決して軽度なものでなく同等レベルにあり自殺率も決して低くはありません。

適応障害の症状

適応障害は、要因となるストレスに晒されると三ヵ月以内に種々の症状を発症し、要因となるストレスから隔離されると6ヵ月以内に症状がなくなると言われています。

適応障害の典型的な症状は、特に無いと言われています。例えば、うつ病であれば、抑うつ感、焦燥感などで、統合失調症では、妄想や幻覚が特徴的な症状として診断では重要なポイントとなります。しかしながら、適応障害では、ストレスに起因する症状であれば何でも現れます。

適応障害の原因

本人が自覚しうる刺激(無自覚の場合もあります)がストレッサーとなり、本人の心身に変化が生じます。これがストレス反応ですが、鉦や太鼓を同じ力で叩いても、音色や音量が形状により異なります。これと同様にひともストレッサーに対する受取り方の違いで、ストレス反応の度合いが異なります。

適応障害は、本人にとってショックとなる特定のストレッサー(ストレス)に晒されて、そのストレッサーに適応しようと努力したけれども、そのストレッサーが存在する環境に適応できなくなり種々の症状が表れたものです。本人にとってショックとなるストレッサーですから、他の方からみれば、たいしたことのない刺激と思われる場合もあります。

適応障害の発症者の特徴

適応障害を発症するタイプとして、ひとことで言えば優秀な会社員です。責任感があり周囲に気遣うビジネスパーソンです。ですから、適応障害の原因系のひとつに本人の価値観が関係していますので、本人の価値観と大きく異なる環境におかれたときに、その落差にショックを受けます。例えば、職場の風土として協力(チームプレイ)より競争(一匹狼で、他人を蹴落とす)、育成よりパワハラのような職場風土では、ストレスが大きいものとなります。

適応障害への対応

他の方から見ると“なんで”、“甘い”といった場合がありますが、本人の苦労の結果が、適応障害ですから、本人に対してネガティブな対応は、避けるべきです。また、責任感があり周囲に気遣いする特徴から、周囲の風土に合わせるべく日々努力している中で、よりプレッシャーを掛けるような対応をするとストレスが増悪して負のスパイラルに陥ります。“頑張れ”は、本人的には、精一杯の努力をしているのに、まだ努力が不足しているのかという感情になりますので控えましょう。

適応障害の治療

職場環境起因で適応障害に陥った場合は、特定のストレスが原因ですから、職場復帰を前提として考えると将来的に自身の判断が必要となります。難度の高い判断を要しますので休業により健康回復を図ることが第一です。応急処置として休業で職場を一時的に離れることで、特定のストレスから分離されますので症状は低減します。根本的には、職場の環境や風土に起因していますので、ストレッサーを避ける(職場を変わる)、ストレッサーをやり過ごす(認知を変える)、ストレッサーを無くす(環境や風土を変える)の選択肢がありますが、第三の選択肢は、協力者があるとしても困難と思われます。

簡便には、職場を異動することによりストレッサーを避ける選択肢ですが、旧職場のストレッサーが新職場で無くなるという保証はありませんし、適宜に異動することが人事労務政策上できることとは限りません。また、会社を変わるという選択肢も含まれますが、同様の課題があります。

長い人生を考えると、ストレッサーをやり過ごす(認知を変える)という選択肢が有効と思えます。ストレッサーを特定し、なぜストレス反応が生じるかを考えて受取り方を変えていきます。その際には、医師やカウンセラーなどの専門家の指導もとに認知療法に取組んでください。また、家族や友人などの周囲の方々の協力も必要となります。“頑張れ”、“これがいけない”などの消極的な応援でなく、“よくできているね”などの伸ばす応援が必要です。

蛇足ですが、適応障害の治療は、投薬よりも認知療法が中心になります。

適応障害への対応

適応障害は、特定のストレスにより引き起こされる様々な症状が発症します。また、原因となるストレスから隔離されると元気になりますので、誤解を招きやすい病気です。本人は、優秀なビジネスパーソンとして特定のストレスを生じる環境に適応すべく苦労していますが、矢尽きて病気に陥ります。本人に対しては、決してネガティブな対応(甘えだ、意気地なしだ、気合がたりない)をせず、ポジティブな対応(いいね、よくできたね)をしていくことが重要です。また、本人も認知の仕方を専門家の指導の下に変えていくことが必要です。

統合失調症(Schizophrenia)とは

認知機能に重大な損害が生じ、主に妄想や幻覚などが現れる精神疾患のことです。

かつては精神分裂病と呼称されていました。

統合失調症の症状

妄想、幻覚、判断力や思考力の低下、感情鈍麻、興味や意欲の喪失などが主な症状ですが、特に妄想や幻覚が特徴的な精神疾患であると言えます。

統合失調症の罹患者が抱く妄想の例は以下の通りです。

・自分は誰かに追われていると思い込む追跡妄想

・監視や盗聴をされていると思い込む注察妄想

・自分の食事に毒を混入させられたと思い込む被毒妄想

・周囲で起きた事柄を自分に関係があると思い込む関係妄想

・自分は重篤な病に罹っていると思い込む心気妄想

・自分を異常に過大評価する誇大妄想

・自分を神だと思い込む宗教妄想

・他人が自分に嫌がらせや攻撃をしていると思い込む被害妄想

・他人から自分は愛されていると思い込む恋愛妄想

・自分が高貴な生まれであると思い込む血統妄想

・パートナーの根拠なき不貞を疑う嫉妬妄想

・家族を家族ではないと思い込む家族否認妄想

これらの妄想が原因で精神的にも不安定になりがちであり、不安感、焦燥感から抑うつ状態に陥ることもあれば、全能感から躁状態に陥ることもあります。

またそれがどれほど支離滅裂な妄想であるかを指摘されても受け入れないことがほとんどあり、自分をわかってくれない周囲を拒絶し、隔絶した自分の世界に閉じ籠もってしまうことでより一層精神を病んでいきます。

更に妄想に拍車をかける症状として幻覚があり、統合失調症の幻覚で最も発現率の高いものは幻聴であるとされています。

幻聴の内容は被害妄想を裏付けるように罹患者に対して否定的で命令的なものであることが多く、自殺や他殺を促す声が聞こえることもあると言い、非常に危険な精神疾患であると言えます。

統合失調症を引き起こす原因

明確な原因はいまだ解明されていませんが、肉親に統合失調症を発症した人がいると発症リスクが高まることから遺伝的な要因によって引き起こされるとする説、強いストレスによる「ドーパミン」の過剰分泌が原因であるとする説などが有力視されています。

またHEE(High Expressed Emotion:高い感情表出家族)と呼ばれる「批判」「敵意」「情緒的な巻き込まれすぎ」という三つの特徴を持つ家庭で育つと統合失調症の発症率が跳ね上がると言われており、「ダブルバインド(二重拘束)」と呼ばれる要求に従っても従わなくとも叱責される環境にさらされた場合も発症する危険性が高まるそうです。

進学や就職などの人生の岐路に差し掛かる時期がそのまま発症しやすい時期と重なるともされており、環境変化の不安が発症のきっかけになることがあるようです。

統合失調症の治療

ソーシャルスキルトレーニングなどの認知行動療法や抗うつ剤、向精神薬、漢方薬を使用する薬物療法、電気けいれん療法(ECT)などが治療法として挙げられます。

家族が治療に参加する家族療法が行われることもあります。

重篤な精神疾患とはいえ適切な治療が行われれば統合失調症は回復可能な疾患です。

しかし統合失調症の罹患者には自身が病気であるという自覚がないことが多いため、治療の途中で薬の服用をやめてしまったり、そもそも来院すら拒絶する場合も珍しくなく、その場合は家族が説得するしか方法がありません。

統合失調症は数ある精神疾患の中でも殊に家族への負担が大きいとされており、家族は罹患者のことだけでなく、自身の精神状態にも配慮することが必要になります。

また特に家族が気を付けなければいけないのは、罹患者の話を聞く際に妄想には原則として否定も肯定も無視もしてはいけないということです。

否定や無視の場合は孤立感を肯定の場合は妄想そのものを補強してしまうため症状が悪化してしまうからです。

かといって親身に話を聞きすぎると家族がうつ病などの精神疾患を患う事態にもなりかねないため、注意が必要です。

統合失調症のまとめ

認知機能に重大な損害が生じたために妄想、幻覚、判断力や思考力の低下、感情鈍麻、興味や意欲の喪失などが現れる精神疾患のことです。

中でも妄想と幻覚は危険であり、罹患者に対して攻撃的かつ否定的な内容であることが多く、自傷や他害、自殺や他殺を引き起こすこともあります。

原因は不明ですが遺伝的なものもしくはストレスによる「ドーパミン」の過剰分泌は影響していると考えられているようです。

治療法には認知行動療法や薬物療法、電気けいれん療法(ECT)、家族療法などがあり、殊に家族の協力は大切です。しかしかかる負担も大きいため、自身の精神的な健康を損なわないように配慮しながら罹患者をサポートしていくことが必要であると言えます。

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