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コタール症候群の特徴・症状・治療について

コタール症候群(Cotard delusion)とは

「私はもう死んでいる」という荒唐無稽な妄想にとらわれてしまうことで、罹患者自身が能動的に生命維持活動を絶ってしまい、現実に己を死に至らしめてしまう深刻な精神疾患のことです。

1880年にフランス人精神科医ジュール・コタール(Jules Cotard)によって確認された精神疾患であり、コタールが自身の患者「マドモアゼルX」の症状を発表したことが契機となり、この病が広く知られるようになりました。

その様は「まるで歩く死体のよう」と記録されているそうです。

したがって「歩く死体症候群(ウォーキングデッド・シンドローム)」とも呼称されます。

コタール症候群の特徴

コタール症候群とは、換言すれば最も重いうつ病です。

したがって「死にたい」ではなく「私はもう死んでいる」と思い込んでしまうのです。

欧米圏でのコタール症候群患者に信教者が多いことや、環境によって異なる症状が現れることから「文化依存症候群」の一種に数えられることもあります。

コタール症候群の症状

生命維持活動の拒絶、自傷、自殺など症状自体は通常のうつ病と大差ありません。

異なるのは「私はもう死んでいる」という妄想を元にしている点です。

またゾンビ映画や墓地といった「死」を連想するものに引き寄せられる傾向も見られます。

これらのコタール症候群患者の行動は大別すると以上の3つの妄想が元となっています。

・否定妄想

・心気妄想

・不死妄想

否定妄想は、罹患者の環境や信教によって異なった様相を見せます。

「私はもう死んでいる」

「私は食事をすることを許されていない」

「私は眠ることを許されていない」

「排泄することを許されていない」

「私は神がつくりたもうた人間の中で最も邪悪な存在だ」

などといったものであり、いずれも強すぎる自己否定であることに相違ありません。

心気妄想とは、心身の些細な不調に拘泥してしまい、その不調が重篤なものであると思い込んでしまうことであり、コタール症候群患者は以下の様な心気妄想を抱きます。

「私は身体の一部が欠損している」

「私は脳がない」

「私は血がない」

「私はすべての臓器を持たない」

などといったものです。

またコタール症候群患者は、表情認知をつかさどる脳の一部に異常をきたすことが多く、自身の顔や肉体を見たときの認識と現実とが乖離してしまったり、身体の感覚に対する幻覚(体感幻覚)により、痛みを感じなくなってしまうことや、身体の内部が消失したような感覚を覚えたりすることがあり、それが心気妄想に拍車をかけてしまうこともあるようです。

不死妄想は、一見すると「私はもう死んでいる」と思い込んでしまうコタール症候群とは対極に位置しているように思えます。

しかし、不死妄想こそコタール症候群における最も深刻な症状であり、

「ここは死後の世界だ」

「もう死んで楽になることも許されない」

「この苦しみを抱えて永遠に生きていかなければならない」

というように、死ぬことすらできないという不死妄想の深い絶望から、死ぬことは出来ないと思いながらも、その苦しみから逃れようと「死」を求めて、自傷や自殺に走ってしまうケースが多いからです。

コタール症候群の治療

コタール症候群患者は強すぎる自己否定により、医師のカウンセリングすら否定してしまうため、心理療法は難しいとされています。

他の治療法には抗うつ剤の投与やETC(電気けいれん療法)が挙げられますが、完治した例は多くはないそうです。

一方でディズニー映画や座禅などによって、症状が回復した例もあり、最も有効な治療は心の安らぎであると言えるでしょう。

無縁社会や高齢者の増加に伴う死への懸念

コタール症候群は以下の特徴を持つ人に発症例が多いとみられています。

・責任感が強い

・自分に厳しい

・人を頼ることができない

発症者に敬虔な信教者、老齢期、または10代から20代の若者が多いことからもそれが首肯できます。

少子高齢化や無縁社会が問題視されている日本においては、特に懸念すべき精神病といえるでしょう。

コタール症候群のまとめ

コタール症候群とは「私はもう死んでいると思い込んでしまう重度のうつ病」です。

一度発症してしまうと完治は困難であり、症状は艱難辛苦なもので壮絶を極めます。

一人で思いつめてしまう前にまず誰かを頼ること、かつそれが容易にできるような社会をつくっていくことこそが、コタール症候群の一番の予防法と言えるのではないでしょうか。

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