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カウンセラーが知っておきたい転移と離人症の症状と治療について

ストレスケア

カウンセリングにおいてクライエントは様々な反応を示します。中には、親に対して思っている気持ちを、カウンセラーにぶつけるという行動をする人もいます。こういった反応は実はよくあることで、心理学の用語で転移と言います。

今回はこの転移についてご紹介したいと思います。

転移とは

転移とは、臨床心理学や精神医学の専門用語で、過去の出会った重要人物に感じている様々な気持ち、距離感の持ち方などをカウンセラーに対して向けることを指します。

転移には種類が2つあります。一つ目は陽性転移です。これは、愛情や依存する気持ちなど、大雑把に言うと好意的、前向きな気持ちをカウンセラーに向ける転移のことです。カウンセラーに好意を抱いたり、甘えたりする態度は、この陽性転移の可能性が高いです。

逆に、敵意や攻撃的な気持ち、不満など、マイナスの気持ちを向けることを、陽性転移に対して、陰性転移と言います。

この転移におけるクライエントの感情を分析、理解することによって、クライエントの症状の緩和へとつなげていきます。精神分析やそれに近い関わり方をする人にとっては、この転移は見逃すことのできないとても重要な要素なのです。よくカウンセラーは中立であるべきだというような話を聞きますが、これは、純粋にクライエントのことを映し出すために必要なことなのです。

転移は陽性だからずっと好意的な感情が出てくるといった単純なものではありません。表裏一体という言葉がぴったりで、転移は無意識的なものですので、陽性的な感情と陰性的な感情は複雑に表出されます。好意的な態度を示していた人が逆に攻撃的な態度をとるようになることは、カウンセリングの場面ではよくあります。

また、逆に、カウンセラーがそうしたクライエントの感情に巻き込まれてしまうケースもあります。これを逆転移と言います。

逆転移

クライエントが転移をした時に、その転移に対してカウンセラーの方がクライエントに感情を抱く時があります。これを逆転移と言います。逆方向の転移なので逆転移と言うのでしょう。

逆転移はクライエントの発言や態度のみならず、カウンセラーの内面に影響されて生じるものです。この逆転移を落ち着いて認識、分析することができればカウンセラー自身の内面の分析につながります。

また、そういったことをふまえてクライエントのことを改めて見つめなおすことができれば、クライエントの感情や態度にもつながることでしょう。

逆転移は良くないものとされることもありますが、うまくやればプラスに作用するきっかけにもなりえます。

まとめ

カウンセリングの場面において、クライエントがカウンセラーや精神科医に対して、過去の自分の周りの重要人物との関係を持ち込み、非現実的な態度をとることを転移と言います。カウンセラーに対して恋愛感情や尊敬の気持ち、依存など前向きのような気持ちを抱くことを陽性転移と言います。逆に憎しみなどネガティブな感情を抱くことを陰性転移と言います。

また、カウンセラーがクライエントにそのような感情を抱くことを逆転移と言い、転移と区別されます。

カウンセリングの場面における転移と逆転移をよく分析することで、クライエントの症状の改善、カウンセラー自身の研鑽につなげることが可能となります。

離人症という言葉を聞いたことはあるでしょうか。ちょっと怖い印象の受ける病気の名前ですね。この離人症はとても稀な神経症の一つです。「自分が自分である感じがしない」「自分が行動しているという実感がない」などといった症状が離人症の大きな症状の一つといえます。もちろん、自分が自分であることについては頭では理解できているのですが、実感が伴っていないのです。まるで他人事のように自分のことを感じてしまうようです。

離人症の症状

離人症はなかなかわかりににくく、患者さん自身も自分に何が起きているのかわからないことがあります。一つ目の症状が「自分が自分でない」と感じ、自己の存在感や実態感が薄れてしまうといった症状です。二つ目の症状が「自分の体が自分のものという感じがしない」といったものです。ほかには、見るものや聞くものの実感がなくピンとこなくなってしまうことがあります。初めて見る光景をすでに見たことがあるように感じる体験をデジャ・ビュといいますが、このデジャ・ビュは離人症の症状として現れることがあります。

離人症の患者さん

離人症は戦闘、交通事故、レイプといった精神的なショックやそのほかのストレスによって生じることがあるといわれています。また、睡眠不足や過労、身体疾患などをきっかけに発症することもあります。短期間で軽快することもあれば、何年もこの症状が続いてしまうこともあります。本人の苦痛は堪えがたいものですが、仕事や日常生活に支障がないことも多くあります。

離人症の治療方法について

離人症の治療方法には、薬物療法と心理療法が必要になってきます。なかなか治りにくいので、根気強く治療を続けていくことが重要です。離人症の心理療法では、臨床心理士といった専門家に自分の苦しみを受け止めてもらうことが重要になります。その中で、離人症といった病気自体の理解を得ることで、症状の軽減を図ります。離人症そのものに効く薬物はあまりありませんが、その人の症状に応じて薬物を処方されることがあります。医師の指導の下でしっかりとお薬を飲むことが重要です。

離人症の患者さんへのかかわり方

離人症の主症状である「自分が自分でないかんじ」は本人にも周囲にもなかなかわかりにくい症状なので、まずは患者さんの症状を理解し、本人の苦痛を受け止めてあげることが大事であるといえます。そのような症状があることを知らないと「気のせい」などと言いがちですが、わかってもらえない苦しさは離人症の症状を悪化させていってしまいますので、注意が必要です。また、離人症の正しい診断を得ることも重要です。しっかりと医師に診断してもらい、患者さんの症状にあった治療方法を選択していくことが必要でしょう。離人症の症状はほかの精神疾患でもみられることがありますので、しっかりとした診断が重要になってくるのです。診断が決まり治療が開始された場合には、患者さんに寄り添い、患者さんに対して優しいいたわりの態度で接してあげるようにしてください。叱咤激励等は逆効果になってしまう可能性が高いです。心的外傷が原因である場合には、心身ともにゆっくりと休める時間が必要になりますので、ゆったりとした態度で見守ってあげてください。

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